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【#1】毎日つまんないなら「無駄」をやるべし。話題の“爆音ロックが流れる”花屋の店主がくれた金言

2019.12.02

出典: by.S編集部

我が道をゆく、女の生き姿をご覧あそばせ。この連載では、パワフルで型破りなお姐さまたちの金言をご拝聴。
キャリア・結婚・出産…まわりと比べては、ねたみ、そねみ、嘆き、ときどきダークサイドに陥るアラサー世代。そんな自分が小さく思えてきちゃうかも?

今回は、“センスのいい花屋”“花屋らしくない花屋”とメディアからも注目を浴びる、音空花店を2018年2月にオープンした川瀬涼子さんの、花屋にたどり着くまでの生き様を覗きに、ロックが爆音で流れる店内にお邪魔した。

出典: 編集部撮影

花屋よりも“アウトロー”に憧れた、少女時代

出典: 編集部撮影

世は80年代真っ只中。好奇心旺盛な少女は、横尾忠則や森山大道、荒木経惟などが表現する、綺麗事だけでは語れない社会の側面に興味を持った

下校中に、路上に立つ春をひさぐお姉さんのことを「なんて綺麗でかっこいい出で立ちなんだろう!」と憧れて。近づいて、懐いて。するとお姉さんも可愛がってくれて、ハイヒールをもらったこともありましたね。

コメント: 川瀬涼子さん

出典: 編集部撮影

辛いフリー生活で自分に問うた、「その仕事に“執着心”はあるのか」

出典: 編集部撮影

“アウトロー”との出会いは、スポンジのような感性を豊かに膨らませ、美術大学へ進学卒業後は、1年間イギリスに留学した。

好きなロックバンドのザ・キュアーのヴォーカルのロバート・スミスが飛行機嫌いで、日本でライブをしてくれなかったんです。だったらわたしが行けばいいんだ!と。彼らのライブに行きたくて、そんなよこしまな気持ちでの留学でした。

コメント: 川瀬涼子さん

帰国後はグラフィックデザインの会社に就職し、2年間勤務。そこで出会ったカメラマンに誘われ、学生時代にカメラを専攻していたこともあり、カメラアシスタントに転向した。そしてフリーカメラマンとして独立したのが、その2年後だった。

出典: 編集部撮影

フリー生活は、正直、仕事が上手く回っていなかったので辛かったですね。そんななか、わたしはカメラに対して、『これ1本で生きるぞ!』という強い執着はないな。じゃあ、カメラは趣味でもいいか」と考え方を変え、就職を選択したんです。

コメント: 川瀬涼子さん

46歳でひらめいた、「人生最後にやりたいこと」

出典: 編集部撮影

これまでの経歴を生かすべく、映像美術会社に就職。激務だったが仕事は肌に合い、苦楽を共有する仲間もでき、尊敬する社長にも出会えた。
そして、撮影などで美術装飾品として花を扱うなかで、花と触れ合う楽しさをそれまで以上に感じ、自宅が花に埋もれる日もあった。

撮影後、使った花はすべて捨てるんです。わたしはとてもじゃないけど捨てることができず、全部持ち帰って家で楽しみました。贅沢でしたね。

コメント: 川瀬涼子さん

そんな日々のなか、ふとひらめいたのだ。

出典: 編集部撮影

人生最後の仕事は、会社員じゃなくて、なにか、ひとりでやりたいな。うん、そうだ、『自分が行きたい花屋』…そう、自分のための花屋を、作りたい!

コメント: 川瀬涼子さん

46歳のときだった。社長に報告すると、「花屋は体力仕事だから、やるなら早くやったほうがいい」と背中を押してくれ、10年間勤務した会社を辞めた
そうして、2018年2月、音空花店は生まれた。

ありがたいことにメディアで取り上げられることも増えましたが、だからと言って仕事量が比例するわけじゃないので、毎日、ただただ必死にやるだけです。でも「楽しい」しかないです。これまで仕事をしていて、「楽しいだけ」なんて1度もなかったのに。

コメント: 川瀬涼子さん

「毎日がつまらない」「好きを仕事にしたい」あなたへ贈る“無駄のすすめ”

出典: 編集部撮影

“好き”を仕事にし、楽しさに胸ときめかせながら生活できることは、多くのひとが目指したい憧れの姿。けれど、現実はそう上手くいくもんじゃあない

生活しなきゃいけないですからね。どんなにつまらなくても、いやでも、会社には行かなきゃいけない。変わりたいなら、少しでも興味のあるものを、無理にでも始めてみればいいと思います。

コメント: 川瀬涼子さん

たとえば、OL生活がつまらなくてカフェ経営に興味を持ったとする。その動機は「なんかおしゃれだから」でもなんでもいいんです。それで、カフェをやるにあたって学校に通ったり資金繰りをしたり、おのずと真剣に向き合うことになるし、いざオープンしたら、その反応はお客さんから如実に返ってくるもの。そこから経営は向いていなかった…と学んだり、珈琲豆の栽培のほうが興味があると気づくかもしれない。

コメント: 川瀬涼子さん

出典: 編集部撮影

だから、とりあえずやってみる軽い気持ちでも、よこしまな動機でもいいから。やってみたら、カフェは辞めたとしても、その先に掴むなにかが絶対にある

コメント: 川瀬涼子さん

一見、回り道のように見えるその過程だけど、川瀬さんは笑いながら言う。

出典: 編集部撮影

だって、わたしの人生、無駄だらけですから。無駄がいっぱい。言えないことがたくさん(笑)。そんな“無駄”の積み重ねが、自分の価値なのかなと思うんですよね。

コメント: 川瀬涼子さん

「今の若い女性は、わたしより大人っぽい。スマート」と感心する川瀬さんだが、こう続ける。

ただ、つまらなくない? とは思います。“無駄”のなかから、出会いやかけがえのないものを見つけるのも、楽しいものです。

コメント: 川瀬涼子さん

スマートではない道のりで、唯一無二の個性を手に入れた川瀬さん。我が道をゆくひとはかっこよく、美しい。「毎日つまんない」なら、いっそ“無駄”に突っ走ってみるのも、悪くないんじゃない?

取材協力 「音空花店」川瀬涼子

音空花店
住所:東京都世田谷区経堂5-29-1
電話:03-6413-5587
営業時間:12:00~19:00
定休日:月曜日、火曜日

photo/玉越信裕

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我が道をゆく、女の生き様。型破りなお姐さまたちの金言集

text : 有山千春

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