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【#2】花屋なのに、6割が男性客。人気の理由は「彼女っぽくない花」も選ぶから?

出典: by.S編集部

我が道をゆく、女の生き姿をご覧あそばせ。この連載では、パワフルで型破りなお姐さまたちの金言をご拝聴。
キャリア・結婚・出産…まわりと比べて、ねたみ、そねみ、嘆き、ときどきダークサイドに陥るアラサー世代。そんな自分が小さく思えてきちゃうかも?

今回は、SNS上でも“センスのいい花屋”と話題の、音空花店・川瀬涼子さんの花束に込めた規格外な想いを体感しに、ロックが爆音で流れる店内にお邪魔した。

出典: 編集部撮影

まわりは心配した、“自分だけの花屋”

出典: 編集部撮影

花屋にたどり着くまで、グラフィックデザイン会社の社員、フリーフォトグラファー、そして映像美術会社の社員…と並行して、“人生の無駄”をたっぷり経験した末、46歳で「花屋をやりたい」と思い立った川瀬さん。

かっこいいお店を作ろうとして作ったわけではないんですよね。ただ「こういう花屋があったら通いたいな」と思うことを詰め込んだだけなんです。

コメント: 川瀬涼子さん

出典: 編集部撮影

好きな音楽をガンガン鳴らしたい。好きな映画のポスターを飾りたい。いくつもの頭の中の“好き”を、ひとつひとつ反映。映像美術会社時代に苦楽を共にした仲間たちが手を貸してくれた。

でも、周囲から心配の声が漏れ聞こえてきたのも事実で…

場所は商店街のはずれだし、元々花屋をやっていたわけではないから知名度もないし、花屋としてわかりやすいアピールもしなかったし、「大丈夫?」って。まわりから結構言われましたね。でも、わたしはそれでもよかったんです。

コメント: 川瀬涼子さん

ロックに惹かれ来店し、初めて花を買う男性たち

出典: 編集部撮影

異業種からの転身ゆえ、横のつながりもなかった。それでも否応なしに評判は広がっていったそう。

オープン半年後くらいですね。有名チェーン店の花屋で働く人が見に来たり、有名花屋さんが「来てみたかったんだ」なんて言いながら遊びに来てくれるようになりました。こんなにありがたいことってないですよ。

コメント: 川瀬涼子さん

川瀬さんのお店にふらりと入る人たちには、共通点がある。それは、「音楽が好き」ということ

出典: 編集部撮影

流れている音楽がロックだからか、男性客が多いんです。お客様の男女比は、男性客6割くらい。他の花屋と違った“花屋らしくない”店構えにつられつつ、音楽も好きだし、「そういえば今まで女性に花なんてあげる習慣はなかったけど、あげてみようかな…?」って、なんとなくたどり着いた人が多いみたいですね。

コメント: 川瀬涼子さん

「あの…彼女に花をあげようと思うんですけど」

出典: 編集部撮影

そこからは、川瀬さんの真骨頂。ていねいに、想いを花束に紡ぐ

花束を作る前に、まずは根掘り葉掘り聞きます。彼女はどういうタイプの女性なのかを。服装や好きな音楽、映画、色…。そして最後に聞くのは、「あなたは彼女に、どういう雰囲気の花をあげたいか」ということ

コメント: 川瀬涼子さん

彼女に似合う花束もいいけれど、そういう花束をもらったことがある女性は結構いると思うんです。だからこそ、彼が「彼女にはこういう花束を持ってほしい」という想いを込めたいな、って。スタイリッシュなタイプの女性でも、彼が「可愛らしい花束を持ってほしい」と思っているのなら、彼女っぽくなくても、可愛らしい花束を作りたいな、と思っています。

コメント: 川瀬涼子さん

出典: 編集部撮影

そうして生まれる、どこにもなかった、彼と彼女のためだけの花束。川瀬さんがお店に作り置きのブーケを置かない理由が、ここにある。

花って、撮影現場では“消え物”って呼ぶんですよね。枯れて形はなくなってしまうものだけど、心には残る。それなら、インパクトのあるものを作りたいなと思うんです。それが珍妙でも奇妙でも、その人らしい花や、その人が望んでいる花を全力で作りたいんです。

コメント: 川瀬涼子さん

「数秒で出て行くひともいる」

出典: 編集部撮影

万人受けより、音空花店を気に入ってくれた目の前のひとりに全力を注ぐ川瀬さん。だからこそ、「お店に入ってくれても、数秒で出てしまう人もいる」と話す。

それって、川瀬さんの立場からしたら、落ち込んでしまいそう。好きなことを表現した先に、「まわりからどう思われるかな」「変な目で見られるのでは」…なんて逡巡が常につきまとう。

SNSがコミュニケーションの中心になりがちないまの生活なんて、特にそう。ひと目に苛まされ、しなくてもいい落胆をして、やりたいことを我慢してしまった経験、誰にでもあるはず。

わたしはSNS初心者だから言えることかもしれませんが、「ならいっそ、辞めちゃえ」って思ってしまいます。誰かに強制されているのなら仕方がないけれど、そうでないなら辞めればいいのになあって。

コメント: 川瀬涼子さん

でも、そんな悩みを抱えながらもSNSを続けるのは、自分を肯定してくれる何かが欲しいからですよね。うん、大丈夫ですよ。どんなものにも、絶対に「好き」と「嫌い」は同居するものですから。

どんなに売れている役者さんでも、その人が「好き」な人が多ければ多いほど、同じくらい「嫌い」もある。「嫌い」と言われたら、それと同時に「すごく好き」と言う人もいるってことだから。実は、「好きでも嫌いでもない」という中間が、一番注目されていなかったりしますよね。

コメント: 川瀬涼子さん

出典: 編集部撮影

「良くも悪くも、注目されるのはいいことだと思っちゃう」と話す川瀬さんの原動力は、自分が楽しいかどうかに尽きる。

どうせ何かをやるなら、自分が一番楽しくないとね。そうじゃないと続かないし、「楽しんでやっているな」ってことって、ひとに伝わりますしね。そこは、一番大切にしていきたいなって思います。

コメント: 川瀬涼子さん

否定の数だけ好意もある。否定に身動きを奪われる? それとも、好意を受け取って真摯に向き合う? その答えは、一択しかないはず。

取材協力 「音空花店」川瀬涼子

音空花店
住所:東京都世田谷区経堂5-29-1
電話:03-6413-5587
営業時間:12:00~19:00
定休日:月曜日、火曜日

photo/玉越信裕

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我が道をゆく、女の生き様。型破りなお姐さまたちの金言集

text : 有山千春

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