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【#6】女優が人生相談する、女優。仁支川峰子が絶対にしない“筋道”に反すること

我が道をゆく、女の生き姿をご覧あそばせ。この連載では、パワフルで型破りなお姐さまたちの金言をご拝聴。キャリア・結婚・出産…まわりと比べては、ときどきダークサイドに陥るアラサー世代。そんな自分が小さく思えてきちゃうかも?

今回お話をうかがったのは、歌手で女優の仁支川峰子さん。近年はバラエティ番組にも出演、歯に絹着せぬ発言が女性から支持されているほか、同業者から人生相談を受けることもしばしば。

「あなたね、そんなことやっていると、負けるわよ!」
ーー爆ぜる仁支川節、とくとご覧あれ。

映画史に残る名シーンを演じた女優は、“動じない女”

出典: 編集部撮影

血のように赤い布団が敷きつめられた小部屋で、着物ははだけ、髪の毛を振り乱し、悶えながら叫ぶ。

「ここ、噛んでえぇ!」

一度観たら忘れられない、映画『吉原炎上』(87年・東映)の名シーン。仁支川さん演じる花魁・小花が鮮血を吐きながら生を終える場面は、物語のなかでも一際壮絶だ。

小花は、ゲイやニューハーフの方に好かれているのよね。『わたしが小花を演じるわ!』なんて、みなさんで取り合いになるそうです。

コメント: 仁支川峰子さん

仁支川さんが表現する哀愁や情念は、性別を超えて胸を打つ。さらに、社会の枠も超えてーー。

地方興行での歌唱ステージにて、前から5列目までの席が、ずらりと“その筋”の群衆で埋まったことも。怒号に似たヤジが飛び交い、会場の空気は張り詰める。それでも、仁支川さんは動じない。

「いい加減にしろや! おまえらのせいで他のお客さんが何も聞こえないじゃねえか! 悪いけど、それ以上歌を聞かずに騒ぐなら出てってくれ!」

と、一喝。訪れる静寂。

そうしたら、『こいつ、やるじゃねえか』と思ったのか、誰一人帰らず最後まで静かに観ていてくれました。

他のお客さんに迷惑がかかるより、わたしが刺されて死んで済むのなら、それでいいと思いました。だって、ステージで刺されるのは本望じゃない?

コメント: 仁支川峰子さん

映画『極道の女たち』(89年、東映)出演以降は、新幹線で同じ車両になった“その筋”の兄さんたちから、『姐さん! ご苦労さまです!』と次々に頭を下げられたこともありましたね。

コメント: 仁支川峰子さん

「他人と比較している時点で、もう負け」

出典: 編集部撮影

どんなことに直面しても動じない、仁支川さんの強さ。キャリアや結婚…他人と比較しては落ち込み、足もとがぐらつくアラサー世代のわたしたちが手に入れることができたなら。

なぜ誰かと比べるの? 自分の人生は、あなたひとりにしか全うできないんだよ? 他の誰かと同じようには生きられない。みんなそれぞれの人生を持って生まれてきたんだから、誰かの真似なんてできない。

比較している時点で、もう負けだよ。
『わたしの個性や人脈は、誰にも真似できない』って、自信を持ちなさいよ。

コメント: 仁支川峰子さん

生きるうえで、妬み嫉みはどうしたって湧いてくる。弱い自分は、いつもすぐそこにいる。けれど。

強くならなきゃダメですよ。生きていくって、負けてられないんだよ心身がしんどくなったら、小休止すればいいのよ。

コメント: 仁支川峰子さん

「休むことは罪じゃない」と、語りかける仁支川さん自身も、大病を患い、生死の淵を彷徨った。

死にかけたときは、誰も病院には呼びませんでした。だって、誰かがいると甘えちゃうでしょう。だからわたしは、ひとりで戦えるように、いつもひとりなんですよ。

コメント: 仁支川峰子さん

「いつも決断するのは自分ひとり」

出典: 編集部撮影

昔から「どんなときもひとりで戦ってきた」と話す仁支川さんだが、それは、こんな信念があるから。

わたしは、ひとに相談したことがありません。ひとに相談すると、なにか不都合が起きたとき『あのひとがこう言ったから…』と、責任を押し付けてしまうこともあるでしょう。だから、選択の責任は自分で持つの岐路に立たされたり選択をしなきゃいけないとき、いつも決断するのは自分ひとり。そのときは悩みませんね。

直感、インスピレーションです。たとえ、『こっちを選ぶとしんどいかもしれない。苦労をするかもしれない』とよぎっても、直感の赴くままに選択します。

コメント: 仁支川峰子さん

それで悪いことが起きたときは、『悪いことが起きたな』と思うだけ。直面したら、乗り越えるだけ乗り越えるために悪いことに遭遇するわけですからね。修行ですよ。

乗り越えたら、『よくやった』と褒めてあげるのも自分自身だよね。

コメント: 仁支川峰子さん

合理性にとらわれがちな現代だからこそ、仁支川さんの言葉は、ずしんと響く。

迷ったとき、楽な方は選ばないほうがいいね。楽な方へは、いつでもいくらでも行けるから。しんどい道を選んだ方が、勉強になりますよ

コメント: 仁支川峰子さん

「刃物を向けられても、逃げなかったおふくろさん」の存在

出典: 編集部撮影

仁支川さんの強さの根底には、母親の存在があった。それは、峰子少女、8歳のとき。

町内の夏祭りで、次男がきっかけで、おふくろさんとヤクザ屋さんが言い合いになったんだよね。そのとき、わたしはおふくろさんの横に立っていて、長男は背後に、次男は物陰に隠れていた。

コメント: 仁支川峰子さん

「殺してやるぞ!」なんて凄まれても、「やれるもんならやってごらんよ!」と返す母親。相手は包丁を手に、母親めがけ突進した。

包丁の先がおふくろさんの体まで、あと数ミリ…というところで、周囲の大人が止めてくれたんです。おふくろさんは、仁王立ちで身動き一つしなかった。かっこよかったね。

コメント: 仁支川峰子さん

仁支川さんの芯の強さは、母親譲りだという。

『昔の子育てと現代の子育ては違う』と言われるけれど、昔の子育ては間違っていないと思う。子どもが嘘をついたり悪いことをしたら、厳しく叱る。ときには叩く。『子どもを叩くな』と言うけれど、叩く場所の良し悪しを、考えればいい。お尻を叩いたりして、痛みをわからせなきゃ。そして反省させて、痛みを知ってもらう。痛みを知らないと、平気で他人に痛みを与える人間になってしまうよ

コメント: 仁支川峰子さん

食事も同じ。手の込んだ体にいい料理を作れば、親に対する感謝が増して、他人を大事にする、あたたかくて優しい子になるはず。手抜き料理ばっかりじゃ、愛情の薄い子になっていくように思います。

コメント: 仁支川峰子さん

親の愛情の深さに、時代は関係ない。おふくろさんの厳しくも大きな愛情で育まれた仁支川さんの強さ。令和のいま、わたしたちアラサーが引き継ぐ役目かも。

取材協力 仁支川峰子

photo/玉越信裕

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配信日:月曜日(毎週)

我が道をゆく、女の生き様。型破りなお姐さまたちの金言集

text : 有山千春

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by.S編集部

by.S編集部によるインタビュー記事のアカウントです。
by.Sチャンネル「マーベラスな女たち」で月曜日(毎週)配信中!

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