
こんな悩みを抱える人は、美容成分のことをよく知らないから。カタカナが並んだ小難しい成分も、かわいいキャラでご紹介。コスメの裏を見れば、たちまちあなたの求める化粧水がわかるかも。


近年の化粧水はより美容液に近くなってきていて、悩みに効果が期待できる美容成分を配合しているものが増えている。
そこで、悩み別に美容成分を紹介&わかりやすく解説!各悩みを吹っ飛ばす美容成分を知って、自分に合った化粧水を見つけよう。
毛穴が気になる方は
ニキビが気になる方は

美容成分として補えるヒアルロン酸は大きく分けて2つ。
- 分子量が大きくて肌の上(=表皮) にのってうるおいをキープする基本タイプ
- 分子量を小さくした角層の奥深くまで届く浸透タイプ
成分表示を見てヒアルロン酸の前に“加水分解”とついていれば浸透タイプ。
分子量が大きいほど保湿力も高いが、ベタつきもその分増す。夕方くらいに乾燥が気になってくる人は、基本タイプ。ベタベタするのが嫌だったり、乾燥小じわが気になる人は、奥まで届く浸透タイプがおすすめ。
セラミドは、もともと肌表面の角層に存在する成分。角層内の細胞の間を埋めるセメントのような働きをする、細胞間脂質の大部分がこのセラミドでできている。
水にもなじみやすい特殊な脂質の1つで、脂質でありながらも水にもなじみやすいので、水と油が重なり合うサンドイッチのような構造(ラメラ構造)を生み出す。
そのおかげで、雑菌などの侵入や肌内部の水分が外へ蒸発するのを防ぐ「バリア機能」を強化してくれる。
セラミドは、うるおいのキープ力に優れているので、敏感肌のような自分でなかなかうるおいをキープできない人におすすめ。
動物から得られる「動物型」、人にあるセラミドに構造を合わせて酵母などからつくる「ヒト型」、米など植物から抽出した「植物型」、セラミドの分子構造に似せて化学合成した「擬似型」などの種類がある。
様々なセラミド化粧水が登場しているが、ヒト型セラミドは肌へよくなじみ効果が高く、基本値段も高い。しかし、近年の研究でヒト型とほぼ同じ効果を発揮する擬似型セラミドも登場している。

抗酸化成分は、他のものが酸化されないように、自らが代わりに酸化されることによって効果を発揮する。フラーレンは、その代わりに酸化される手をたくさん持っているイメージ。さらに、活性酸素(酸化を引き起こす敵)を分解して再び手を出すこともできるので、特に抗酸化効果が高く、ビタミンCの100倍とも言われる。
1%以上入っていると効果があるとされるが、原料が高価でなかなか入れることが難しいので、高濃度の証として“フラーレンマーク”が存在する。
フラーレンは、毛穴悩みのなかでも黒ずみ毛穴に悩んでいる人におすすめしたい成分。
小西さんおすすめのアイテムも、フラーレンマークを取得している高濃度配合なので、要チェック!
ライスパワーNo.6は、「過剰な皮脂の分泌を抑制する」効果がある。医薬部外品として認められている唯一の有効成分。成分表示名は、米エキスNo.6。化粧水で配合されているものは2020年9月現在、以下「ONE BY KOSÉ バランシング チューナー」のみ。
通常毛穴の開き対策としては、エタノールやアルコールなどを配合し肌を引き締めるのが一般的だったが、ライスパワーNo.6は成分で皮脂の分泌を抑えることが可能。
皮脂分泌の源である皮脂腺に直接働きかけ、皮脂由来のトラブルを繰り返さない肌へと導いてくれる。
毛穴の開き・つまり・ニキビ・皮脂テカリに悩んでいる人におすすめ。
ライスパワー(コメエキス)は、コメから抽出したエキスをさらに発酵させて作ったエキス。発酵に用いられた菌(微生物)により効果が異なり、現在12種類ある。
ライスパワーNo.6は、その1つ。他にも医薬部外品の有効成分として、水分保持の効果が認められている“ライスパワーNo.11”などがある。

毛穴の中で増殖してしまったアクネ菌を殺菌し、炎症を抑え、角質を柔軟にすることで毛穴のつまりを防いでくれるので、ニキビ予防に繋がる。
角質柔軟効果はピーリングにも利用されている。ピーリング成分は、グリコール酸や乳酸などのAHAと、シミ治療などにも使われるBHAの大きく2つに分かれるが、サリチル酸はBHA。ピーリング効果が高く、そのぶん刺激もあるので注意が必要。
サリチル酸は、顔の下半分(頬・フェイスライン・口まわり)にできてしまうような“大人ニキビ”に悩んでいる人におすすめ。思春期ニキビとは違い、炎症が長く続いたりニキビ跡が残りやすい傾向があるので、炎症を抑えつつ、厚くなった角層を柔らかくするスキンケアを取り入れて。
イソプロピルメチルフェノールは、顔ニキビの主な原因であるアクネ菌への殺菌作用がある。また、背中ニキビの原因であるカビの一種、マラセチア菌を減らす防カビ作用もあるので、背中ケアにも。
小西さんおすすめのふき取り化粧水は、特にTゾーン中心にニキビができてしまう“思春期ニキビ”に悩んでいる人におすすめ。過剰な皮脂分泌によるアクネ菌が原因なので、ふき取ることで皮脂もアクネ菌もきちんと取り除くことができる。このアイテムは、ニキビの改善効果が認められるという実証データもあるのだそう。
ちなみに、よく化粧品に記載されている「ノンコメドジェニックテスト済み」は、白いニキビ(コメド)が生じにくい製品かテストして確認済みだという意味。
殺菌作用や防カビ作用がある。殺菌剤なので、厚生労働省は配合量を制限しており、洗顔料以外のニキビケアに配合される濃度は、0.1%以下。
無味無臭で低刺激、アレルギー性もないため、医薬品の傷消毒薬や医薬部外品としてスキンケアに加え、ボディソープなどにも使われる。

普通の美白成分はメラニンを作るのを抑える働きのものが多いが、ビタミンC誘導体にはメラニンを作るのを抑えるだけでなく、できたシミを薄くする効果(色素還元)もある。また、美白以外にも様々な効果があり、万能。
ビタミンCはそのまま化粧品に配合するとすぐに酸化してしまうので、使うときにはもう効果がない状態に。なので、キャップのような被り物をつけて酸化しないようにしたのが、ビタミンC誘導体。肌にのせると自動的にその被り物がとれて、ビタミンCだけが残るという仕組み。
水に溶けやすいタイプ(水溶性)か油に溶けやすいタイプ(油溶性)、どちらかしかなかったが、APPSなどの水にも油にも溶けやすい両親媒性(水溶性+油溶性)が登場し、浸透力がアップ。もっとも肌の中に入りやすく即効性も高い。
肌表面は油で細胞内は水でできているので、両方の性質があると、肌の中にも細胞の中にも浸透しやすくなる。
シミができてしまって色を薄くしたいという人は、美白成分の中でもビタミンC誘導体を。今までより100倍浸透する新しいビタミンC誘導体(=APPS)が高濃度配合されたアイテム(医薬部外品は3%までしか配合できないため、化粧品扱いとなる)が、小西さんのおすすめ。
トラネキサム酸は、紫外線を浴びるとくだされる「メラニン(=シミ)を作ってください」という指令をブロックするはたらきがある。なので、紫外線をたくさん浴びてしまったというときや、夏場のケアで取り入れるのがおすすめ。
また、炎症を抑える効果がある成分とも知られている。美白成分配合のアイテムを使うと赤くなってしまうという、敏感肌の人も比較的使いやすい。美白を攻めたいという人は前述のビタミンC誘導体、美白ケア初心者や敏感肌の人はトラネキサム酸がおすすめ。
シミができる仕組みは、
「紫外線を浴びる→メラニンを作りなさいという指令が出る→シミを作る工場(メラノサイト)でメラニンが作られる→メラニンが肌表面に現れる→ターンオーバーで排出されずに残る→シミになる」
という流れだが、美白成分には大きく分けて5つの種類がある。
- メラニンの生成指令を止める (m-トラネキサム酸など)
- メラノサイトの働きを抑える (ビタミンC誘導体を含む美白成分の多くがこれ)
- メラノサイトを働かせない
- できたメラニン色素を無色化する (ビタミンC誘導体など)
- メラニン排出を促す

ナイアシンアミドは、別名、「ニコチン酸アミド」といい、「ニコチン酸(ナイアシン)」と合わせてビタミンB3とも呼ばれる。「シワ改善」と「美白」両方で、医薬部外品の有効成分として認められている。
肌の中で、ベッドのスプリングのような役割をするコラーゲンを作り出してくれるので、シワを改善する効果が。また、肌の生まれ変わりを促してくれるので、メラニンが蓄積されたシミ部分が代謝されて、シミ改善もできる。
その他、消炎作用もあり、ニキビの予防効果もある。
シワ改善の有効成分の中で水に配合可能なのは、ナイアシンアミドだけ。油性成分を避けたい場合でも使うことができるので、脂性肌の人におすすめ。医薬部外品の化粧水でシワに効果があるものはまだ数少ない。
レチノールは、コラーゲンやヒアルロン酸といったアイドル級の成分の生成を促進する大スター。ナイアシンアミドはシワに対してはコラーゲンだけだったが、レチノールはコラーゲンだけでなくエラスチン(コラーゲン繊維を束ねているゴムみたいなもの)、両方を作ることができる。さらに、ヒアルロン酸も増やしてくれるので、肌のハリや弾力がとても増す。
成分としては、安定性が悪いためビタミンCと同じく誘導体にして化粧品化するものが多く、純粋なレチノールを配合する技術は資生堂にしかまだない。油溶性という特徴もありまだ化粧水にはなかなか例がない。(2020年10月現在)
特にシワ改善だけしたい人はレチノール、シミも一緒にケアしたい人はナイアシンアミドを。
レチノールは、ビタミンAの一種。熱、光、酸素にとても弱い成分なので、他の構造をつけて安定させたもの(誘導体)が多く使われている。
表皮にあるヒアルロン酸の生成を促進するだけでなく、真皮にあるコラーゲン・エラスチンの生成を促進するためシワを改善する効果が高く、「シワ改善」の医薬部外品有効成分になっている。

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